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【 英語が得意な人は教えられなくてもスラッシュリーディングしている 】
  (スラッシュリーデンクは英語構文の理解と表裏一体) 2018年7月28日

文部科学省も進めようとしているスラッシュリーディングですが、教科書会社のホームページにも登場し、研究会までできました

学習塾に本業としてかかわった20年ほど前から、誰に指示されるでもなくスラッシュリーディングを取り入れていました。もっとも、「スラッシュリーディング」という言葉は知りませんでした。


その理由は2つありました。

まずは、中学生と高校生が、スラッシュリーディングを練習すると、英語が得意かどうかにかかわりなく、短期間に学力が高まる経験的事実です。
また、英語が得意で、和訳の域を脱して、書いたり話したりできる生徒さんは、全員スラッシュリーディングでした。

書いたり話したり、聞き取りをスムーズに行うには、英語の構文を時間の流れに沿って、読む場合は左から右へ、理解しなければなりません。

(視覚心理学的には、断続性眼球運動サカード(saccade)は、難しくて長い文では前後に行き来します。読みになれていない学習初期には、短い文でも前後に行き来します。ワーキングメモリーの中でも情報処理は前後しますが、それらとは別の大雑把な話です。)

スラッシュリーディングしていた生徒さんたちの英語理解の仕方は、主語だ動詞だ目的語だとかの、受験参考書に花盛りのとらえ方とは何か異質でした。
文の中に単語が出てくる順番が、主語・動詞・目的語などの文法用語の代わりをしていました。

ちゃんと意味がわかっていても、正しく作文できても、文法用語で説明できない人がかなりいました。


もう一つの理由は、大学で心理学を専攻した時、30年以上前でしたが、授業のテキストと資料はほとんどすべて英語でした。
インターネットも Amazon もなかった時代でしたが、研究室には英語で書かれた書籍がならんでいました。

心理学以外の教科別教育方法や教育学専攻の学生から、「お前らはアメリカの知的奴隷だ、植民地学生」と言われて、からかわれる時代でした。

ほぼ毎日、英語の論文を30ページほど読まされました。最初は、漢文読みして日本語に訳していましたが、とうてい追いつきません。吐き気がした3か月間で思いついたのが、スラッシュリーディングでした。

指導教官の手元の論文と書籍を見ると、スラッシュが入れてありました。最初は馬鹿にしていましたが、3か月もすると、その意味が分かりました。


塾講師を始めて、自発的にスラッシュリーディングする中学生を見たとき、自分はなんて気づくのが遅かったのか、と思いました。
大学の学部学生の時に、まだ、和訳の稚拙にこだわっていましたから。

当時、40年近く前は、和訳のじょうずへたや、外国語論文の意味の理解の仕方を、大学の研究者が喧々諤々(けんけんがくがく)に論議していた時代でした。
隔世(かくせい)の感を禁じえない、とはまさにこのことです。