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【問題集の編集方針のタイプと選択に際しての配慮】   2017年11月26日

学友舎では教科書と学校教材をまずは使用して学習を進めていますが、それを補うために塾専売問題集を利用しています。
編集者が学習をどうとらえているかは色々です。その違いから問題集にも個性が現れます。

学友舎では、購入していただく問題集にくわえて、塾に備え付けた問題集も数種類使用します。その際、問題集の特徴を把握して目的に合わせて選択しています。

(1/6) 純粋に発展問題と難問だけ集めたタイプ

国立や私立の極難関高校受験対策の問題集です。私立高校としては灘高など東大合格者を誇るような高校の受験を想定しています。基本問題はありませんし、標準問題もごく少数です。英語・社会・理科は中学内容を超えたことも含まれます。

学友舎にもいくつかあります。以前、高々・経大付属に合格した複数の生徒さんに試用したことがありますが、自力ではまったく解けず、説明も困難を極め、それを使った事から退会者が出たため、現在は採用していません。
国語については、高々合格者の語彙でも、中学3年時に中学1年用問題集まででした。

例外的に、高専受験には数学について高学力が要請されるので利用しました。

総じて分野別知能テストの代わりのような代物(しろもの)です。正直に言って、教えていても、自分の思考力の限界を試されて、頭が痛くなります。


(2/6) 出題されることが多い過去の試験問題をもれなくのせたタイプ

これは「最高水準」とか「発展」とかうたった問題集によくあるタイプです。過去20年とか場合によりそれ以前から、出題された入試問題をもれなくのせています。

基礎的内容の理解は当然として飛ばしてあることが多く、発展問題の練習に特化しています。学力的には成績上位の人向けです。

高校入試対策としては、私立高校の標準的入試問題に合わせてあります。公立高校の入試問題は、後述するように、国の政策として過去の入試問題から変わりつつありますので、公立対策にはあまり向いていません。

掲載された問題の特徴は、「クラッシック」です。入試で点差をつけるために工夫された難問もかなり含まれます。まさにテストで得点するための問題集とでもいえるでしょうか。

このタイプの問題集は、柔軟な思考力と応用力が必要な、最近の公立高校入試問題と公立中学の定期テスト問題にはあまり向いていません。学友舎では類題練習の必要がある場合に利用しています。


学校で採用するワークは、学年別も入試対策用も、このタイプが多く見られます。公立中学が私立高校受験に向いた問題集を採用しています。妙ですね。


(3/6)新出内容を理解する際の、思考力をおぎなうタイプ

教科書を一人で理解することが難しい時に役立つよう工夫された問題集です。内容的には教科書に載せられた基本問題から発展問題までカバーしています。

「典型的問題を覚えて類題を練習」とは趣旨が異なります。
基本的知識を理解する際の思考の道筋を追体験できるように、説明と問題が工夫されています。類題を思い出して答えるのではなく、問題を解く際の基本的知識は何か、そこに立ち戻って学習が進むように工夫されています。

学力不振のおもな要因は、考えないで思い出そうとする事と、新しく学ぶ知識の論理構造を理解せずに今までに獲得した考え方ですまそうとする事です。
このタイプの問題集の編纂者は、それを乗り越えさせようと工夫しています。

実際使用してみると、学力の高い低いにかかわらず、なかなか効果的です。
編纂に手間がかかるため改訂されることが少なく、最新の入試問題はのせられていません。
とは言っても、すでに身につけた基本的な知識と思考操作(思考のメンタルモデル)にてらし合わせて、問題を分析して答えようとする人には、受けが良いようです。結果として、見た事もない最新の入試問題もできるようになります。


学友舎では塾備え付け問題集として必要な時に利用してきました。来年度からは通年教材として採用(併用)を増やす予定です。

このタイプはあまり出版されていませんが、勉強していて塾生の皆さんの目が一番輝くのは、このタイプの問題集です。


(4/6) 文部科学省と教育委員会の教育政策と、それに基づく個別の公立学校のテスト問題の変化に合わせたタイプ

学友舎で、各教科が特に苦手ではない場合、通年教材として採用しているタイプです。

教育政策の変化にともなう、定期テストと公立高校の入試問題の変化を反映するために、しばしば改訂されます。
問題の配列は、基本から応用へと進みます。基本問題の練習内容も、最近の定期テストや入試問題の傾向を考えて工夫してあります。3年生で受験対策の復習に活用できます。


基本問題に比べて、標準的問題と発展問題の比率が高くなりますから、ある程度の学力がある場合は効果的です。
基本の練習に時間がかかる場合は、基本的知識が定着しないうちに、実際の定期テストと入試の問題と類似した問題練習に進んでしまうことがあります。


問題を解く際の思考のステップを追体験するための、スモールステップのヒントや設問はありませんから、理解力が平均から上の利用を想定したタイプです。スモールステップのヒントと説明は、講師がその場で工夫することになります。
実際使用してみると、教科書の説明は自力でだいたいわかり、平均点を超える人が利用するには、興味も引きまた充実感も沸くようです。


最新のテスト問題の傾向にそって学習できますので、学友舎では引き続き採用予定ですが、学力がある程度高い人についても、上に書いた思考力をおぎなうタイプの併用を増やします。


意外と、このタイプも学校ワークにはほとんどありません。大手教科書会社が作成した学校ワークはこのタイプですが、その他は、いわゆるB問題(難問)のページに前年度の入試難問を差し替えただけで、基本問題の設問にその傾向をいかしてはいません。基本問題のページは40年前と同じことがしばしばあります。


番外編
(5/6)見てくれだけ良くした教育理念にかける営業命タイプ

 学校ワークにたまに見られるタイプです。とにかく問題は、目立つように各
 種ならんでのせられています。
 ちらっとページをくくった人は、これだけ網羅していれば役立つに違いない
 と誤解します。

 それがねらいかどうかは知りませんが、教育的配慮に欠け見てくれだけで、
 学力の高低に関係なく、初学者の学習には使い物になりません。

 さすがに最近は採択戦争に負けて淘汰されつつありますが、この2年間も、
 高崎市内のある市立中学の理科学年別ワークはこのタイプです。


(6/6) ごく簡単な問題だけのせて「よくわかる」とかうたった詐欺の見本タイプ
 
 ごく簡単な例題をならべて、その類題を解かせるものです。
 過去に一度使用したことがありますが、考えずに思い出してすまそうとする
 思考の癖を助長するだけで終わりました。

 通級学級で同じような練習をしている場合があるようですが、学友舎では認
 知発達心理学を専攻したもののプライドにかけて(?)このタイプは採用する
 予定はありません。