--  お知らせ2015 --
 



小学校6年生の算数について(速さ)            (2015年9月11日)

先週から、小学6年生は算数で「速さ」について学習しています。

「速さ」は、「ゆとり教育」以前、15年くらい前までは、小学校5年生で学習しました。
さすがに、理解があいまいなまま中学へ進学する生徒さんが多数派となったために、「ゆとり教育」版教科書では6年生配当となりました。

「ゆとり教育」は終わりましたが、6年生配当のまま残されました。
6年生配当のまま残された理由はいくつかあると思いますが、その一つに、「6年生でも本当は学習が難しいかも知れない」と示唆する研究が1980年前後に発表され、2000年位から、その研究がたくさんの著作物に引用されたことがあります。


今年度から高崎市採用の算数教科書が変わりました。
教科書に書かれた説明が「二重数直線」を多用した、その出版社の教科書に特徴的なものになりました。
 (その特徴については、以前、お知らせでも少し触れました)

その教科書の「速さ」の単元の別の特徴ですが、基本の理解と定着のための練習をはしょって、小学生には少し難しい問題が載せられています。
他の単元に比べると、説明が少なく、時間的にも手短に進むような内容となっています。

「速さ」は小学生と中学生にとってはやっかいな内容です。
中学生になってから、一度は復習が必要とされます。
今年から採用された高崎市の算数教科書は、中学1年生の7割近くがとまどうような問題に、少ない基本練習で進みます。

塾で小中学生と学習を進めてきた経験から考えますと、その結果は火を見るより明らかです。
学校の授業だけでは、多分9割前後の小学生がつまずくのではないでしょうか。


速さの次の教科書単元は立体の体積です。そちらは比較的簡単ですので、学友舎では、来週も速さについて学習します。

小学校の指導では触れられませんが、「速さ」の計算をまねして済ますのではなく、その意味を理解する際に大切なことがあります。

「速さ」など、二つの数の比(割り算の結果)であらわす数学的概念の学習では、「手や視線の動きも利用した直感的な理解が、言葉による定義の理解と、数式として計算する手順の理解を支えている」と示唆する研究があります。
 (英語論文のpdfですが、これこれ)

それらの研究成果も参考にして指導します。
一部、あまりほかでは聞いたことがないような指導内容かと思いますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

成長途上の子供たちは、大人と同じようには思考しません。
                           (2015年9月11日)