--  お知らせ2016 --
 



【軽度の鏡映文字(dyslexia)についての対応・・・(英語・数学・社会)】
                           (2016年7月8日)

10人に2人が、dとb、uとnの区別が苦手(鏡映文字)など、何らかの読書障害に悩まされます。(アメリカ国立衛生研究所の研究によると)
失読症(dyslexia)と呼ばれています。いわゆるIQの高低とは関係ありません


日本語はひらがなも漢字もそのように間違えやすいペアが目立ちませんので、英語の学習場面以外、問題にされることはほとんどありません。

アルファベットを使用する言語圏では、学校教育で問題になりますので、研究が進んでいます。
映画俳優のトム・クルーズも失読症です。


もう20年前の事ですが、保護者の方から失読症だとつげられて、対策を依頼されました。(20年前の高崎から遠く離れた場所での事ですので、ここに書きます)

失読症の否定的影響が、英語に加えて、数学と社会にも出ていました。
当時、失読症の研究についてはほとんど知らず、インターネットが今のようには利用できませんでしたので、海外の研究を調べることもできませんでした。

パソコンとキーボード入力を利用して英語を学習するとか、失読症のハンディを迂回するなど、現在アメリカなどで行われている対処方と比較すると、おかしなこともしました。
試行錯誤の連続でしたが、それでも生徒さんはとても頑張られて、3年生になると、目標としていた全教科平均点以上を達成して、第一志望高校にも合格し、喜んでくださいました。


その後、この件についてはあまり気にしませんでした。

ただ、英語の学習にカタカタで発音を表したフォニクスをとりいれたり、暗記科目では書いて覚える前に言葉の音として暗記するとか、算数・数学で問題を解く過程を書いて練習する等は、失読症についての研究からもヒントを得ました。


指導させていただいた生徒さんの中には、鏡映文字があっても、地域で一番難しい高校へ進学された方もいらっしゃいます。

また、問題を避けずに学習を続けると、中学3年生の夏過ぎに、鏡映反転の影響があまり見られなくなることがほとんどでした。


海外では、アルファベットで鏡映文字が現れる場合に限らず、失読症の数学・理科・社会など他教科への影響についても、研究が進められてきました。

それらの研究も参考にして、指導方法が時代遅れにならないように工夫していきます。

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  日本でなされる、心理学の研究と学習障害に関連した医学の研究は、基
  本的にアメリカの研究の後追いです。
  また、学会関係者以外には詳細は無料公開されないことがほとんどです。
  KAKEN(科学研究費助成事業データベース)を見れば一目瞭然です。

    研究費助成研究 @ A B C D E F

  これらの研究成果が一般に無料公開され学校現場に浸透するには、10
  年から20年かかるのではないでしょうか。

  そのために仕方なく、公開されている海外の研究論文と教育支援団体の
  サイトを参考にしています。
                           (2016年7月8日)