--  お知らせ2015 --
 
 



一部中学校の受験用学校ワーク(歴史)のご利用方法について (2015年6月23日)

高崎市内の公立中学では、学校で集団購入した受験対策ワークを使用しています。
数種類ありますが、一部の中学校で採用している受験対策用・歴史ワークについて、一学習塾として若干疑問を感じるところがあります。


受験用、定期試験用を問わず、学友舎として教材を選定する際は、群馬県の高校入試問題と公立中学校の一般的な定期試験問題を基準にして、難易度を決めています。

また、塾用教材のうち、首都圏の県立高校を受験する中学生用教材としてはやや難しい問題集の内容と比較して、その9割以上をカバーしているものにしています。

比較対象の塾用教材としては、栄光ゼミナールで出版しているものや、ゆとり教育前に出版されていた、中学生向けとしては詳しい問題集とも比較しています。

さらに、ベネッセ・進研ゼミの内容とも比較して、学友舎をご利用の方が不利にならないようにしています。
 (歴史以外の他教科についても同様です)


そのうえでの疑問なのですが、一部の中学校で採用している歴史用受験対策ワークは、問題内容が、高校入試で問われる記憶範囲をかなり逸脱しています。
大学受験の基本用に近いレベルではないでしょうか。

高校入試必出事項の範囲を超えていろいろなことを記憶すれば、理解が深まり必出事項もよりよく覚える、という考え方もあります。
テストには出題されない時代背景の知識を、余談としてたくさん知っていれば、確かに、その時代をイメージ豊かに把握できます。


しかし、中学校での学習は、3年間という限られた時間の中で、クラブ活動等もこなしながら行われます。

また、他の4教科、定期試験ではそれに実技科目をくわえた、多教科の学習に、時間を配分する必要があります。
一教科に専念できるのは、学校の先生だけです。


一部の受験用学校ワークは、高崎市内で使用されている、1年生と2年生用の歴史学校ワークと比較しても、記憶する細目がやみくもに増えます。

ところが、定期試験と高校入試で出題される問題は、細かな歴史用語や人名や背景的知識を、どれだけたくさん覚えているかをきそわせる物ではありません。
 (それは40年前の大学入試問題の発想です)

時代背景について雑多な知識を覚えていることと、テストで解答できることは、残念ながら別のことです。


最近の高校入試問題と、それをまねた入試問題コピーのような定期試験問題は、学習指導要領から推測される中学生としての基本的知識を、出題範囲全体にわたって見渡して、比較検討する力を試す内容が中心です。

その最たるものは、歴史・地理・公民分野の内容を一つの問題の中に融合させた「複数分野総合問題」です。


中学生用としては詳しすぎる受験用ワーク(歴史)は、高校入試で問われる「全体を正確に見渡し比較する力」をつけません。

高校生でもおぼえるのに苦労するレベルに近い内容を、歴史マニア以外の中学生に求めたら、結果はどうなるかは目に見えています。

木を見て森を見ず、という言葉があります。
一部の学校で購入させる受験用教材は、出版にあたっての編集作業に、次のような内容の検討が欠けています。
 学習指導要領 改定のポイント(中学校 社会)
 (兵庫県義務教育課による学習指導要領の解釈)
  
  
学習塾・学友舎としましては、『  高校受験で問題が解けること、そのために必要不可欠な知識を限られた時間で身につけること』を目的にして、受験用教材を選定し、学習を進めます。

またそれを通して、歴史に限らず他の教科でも、高校進学後の各教科の学習を支える、いしずえ()になる学力を身につけるられるように配慮しています。


一部中学校の受験用歴史教材に限らず、学校教材につきましては、その合理的な利用方法について、授業でお勧めすることがあります。

ご参考にされますことを、よろしくお願いいたします。
                           (2015年6月23日)