-- お知らせ2015 --
最近の授業から ( 小学生 算数 二重数直線) (2015年5月12日)
高崎地区の小学校算数教科書が今年度から出版社が変更されました。
実は、この教科書は、算数教育について論議している方々の中では、筑波大学のある教授先生の指導方法を前面に押し出したもの、とみなされているようです。
特に6年生の分数の掛け算と割り算の指導方法に特色があります。
ご参考サイト 子供のちかく、親子でちょっとトーク。
「数直線でかけ算」の立式
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塾で20年間、学生アルバイトを含めてそれ以前から小学生の算数学習をお手伝いしてきました。
その実体験からは、この教科書の指導方法は、小学生のみならず大人にも?のようです。
説明が前提としている『比例関係』を学習する前に、比例関係の算数的規則を、現実生活の「常識」として当然知っていることとして、まず同意すること、を小学生に求めます。
素直な小学生は、習っていないことに突然同意せよと言われても、「なんでー!わかんない―、もうイヤー、算数嫌い―!」となります。
学友舎では、以前の教科書や別の出版社の教科書が採用している、伝統的な図を使用した説明を利用します。
(面積図による説明)
こちらは、学習していない比例関係の知識を前提としていません。
小学生には少しばかり難しいですが、習ったことのない結論を、学習ステップをはぶいて、「事実」として受け入れなくとも理解できます。
計算の工夫や応用問題につきましては、教科書に書かれているものと同等なものを練習し、中学での文字式にスムーズにつなげます。ご安心ください。
認知心理学に関心がある一人として感想を書きますと、分数が3つ以上出てくる、切片bが異なる平行な一次関数(y=aX+b,y=aX+c)を、二つ同時に思い浮かべて比べて思考することとは、「比例」を学習していない小学校6年生に、可能なのでしょうか???
加えて、エックス軸の目盛りが二通りときます。
二重数直線による説明を「理解」するための心理的機能単位は意外と複雑です。
何事も例外はあります。図式を書いて、継時的に高度なミミックとして理解可能な6年生もいらっしゃるでしょう。
ごくまれに、現実の在り方としては1ではない分離量を、視覚的なひとかたまりとして (単位量として) イメージし、それを1と呼ぶ小学生もいます。
でも、どうなんでしょうか、それを教科書の指導方法にすることは。
最近の欧米の算数・数学教育関係の研究を見ていますと、算数恐怖症についての研究がたくさんあります。( たとえば小学生と高校・大学生)大学の研究室や教育センターでも扱っています。
たくさんある数学教育団体でも、大切な課題として話題にしています。(たとえばこれとこれ)
二重数直線を使用したかけ算の指導は、算数恐怖症(Math Phobia)や算数不安(Mathematics anxiety) に貢献しているのではないでしょうか?
率直な個人的感想でした。
(2015年5月12日)