--  お知らせ2015 --
 



最近の授業から
 (中学地理の暗記方法の一つ トポロジー根源テーゼ??)(2015年10月23日)

地理の勉強で、地形と都市の位置などを暗記するために、山や川や都市の名前などを空白にした暗記練習用の地図を利用します。
学友舎でも利用しています。

私達の年代は、中学生の時に、暗記用の地図を自分のノートに自作していました。30年も40年も前からの定番でしょうか。


山や川や都市の名と産業分布を覚えるには、それ以外にもいくつかコツがあります。
その一つとして、問題集の暗記用地図を利用することに加えて、次の方法が効き目があります。
授業で実演してから練習しました。

おぼえる項目の位置関係を、目の前の空間に両手で位置をさししめしながら、名前や内容を言っていきます。

最近のSF映画やアクション映画の中の指令室によく出てくる、コンピューターの空間ディスプレーを手でタッチ操作する要領です。

地図の細かな形はまず無視して、円と楕円を組み合わせた程度の地図を思い浮かべて、位置関係とさし示す手と腕の動きを意識することがポイントです。


国土地理院のサイトにある、「空間スキーマ」の「位相属性」に注意を集中する方法です。

心理学がご専門の方からは、古臭い「トポロジー根源テーゼ」だと言われてしまいそうですが、経験的にとても効果的なので採用しています。

高校生大学生が自発的にかく地図から考えましても、妥当な方法ではないでしょうか。

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以下は、最近「雑談とつぶやき」を書く時間がありませんので、その代わりです。

「トポロジー根源テーゼ topological primacy thesis 」とは、教育関係の勉強をすると必ず出てくる心理学者ピアジェの研究に由来する論で、大雑把に書きますと、子供はまず空間の位置関係を認識し成長するにしたがって座標軸に細かな情報を位置づける、という考え方です。

ピアジェは日本では教育関係者の常識とされていますが、「自己中心性」と「形式操作」をめぐるお話が強調されてきて、「トポロジー根源テーゼ」はあまり語られてきませんでした。
ネットで検索してみましたがこのような研究しかヒットしませんでした。

英語圏ではワーキングメモリーの発達と絡めて考察され、人工知能を利用したロボットの開発の中で考察され、この件についてのピアジェに対する批判的論争のその後について考察されています。
国内の各心理学会の発表論文一覧まで検索していませんが、topological
primacy thesis で検索しても、日本語サイトと文献は出てきませんでした。

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上に書きました地理の暗記法を始めました直接のきっかけは、Alexander Vladimirovich Zaporozhetsというマイナーな心理学者の唱えた、能動的な、手を含めた全身を働かせた定位探索活動が、心理内表象の形成に欠かせない、という実験的研究です。

超古典的研究で、私が生まれたころに発表されていましたから、これこそ温故知新もいい加減にしろと、笑われてしまうかもしれません。
ですが、ロボット工学の最先端では同じようなアイデアが花咲かりです
                                 (2015年10月23日)


2019追記
アクティブラーニングに絡めた研究もあります。
CREATIVITY AND DIVERGENT THINKING INGEOMETRY EDUCATION