-- お知らせ2016 --
【スランプとプラトーという半死語・・・ステップアップと失敗体験】
(2016年10月28日)
何事も苦もなくうまくいくのが人生の理想です。
しかし、「絵に描いた餅」ということわざがありますが、理想通りにはいかないことも多々あります。
教科学習についても、直線(一次関数)的な右上がりの成績向上が理想です。
そのように成績が上がることもあります。実際は、他の多くの成績をあげようという人と競争することになります。
ゆとり教育の期間は、中学定期テストの平均点が90点前後という事がありました。テストはいたって簡単でした。
すべての人が評定5になっても良いという国の方針でしたから、勉強すればそれに比例して成績を上げることができました。
現在は、通知表の各評定の割り当て人数には、ゆとり教育以前のような厳密な規定ではありませんが、大枠があります。
極端な話、どんなに努力しても、自分より上の人を追い抜いて5なら5の枠内に入らないと、5にはなりません。
また、どんなに生徒さんの多くが努力しても、公立中学の定期テストは平均点が60点台になるように工夫されます。
それはそれとして、嘆いていても致し方ありませんので、ステップアップのために皆さん頑張られます。学友舎も工夫し努力します。
授業の時に生徒さんにお話することの一つに、成績が向上するパターンと、物質の三態、固体から液体をへて気体になるまでの、温度変化の時系列が似ている、という話題があります。
まず、塾や家庭教師について勉強を始めると、その直後、急激にある程度成績が上がります。その後、期待に反して、一度上がったその成績が多少上下しながら続く期間が訪れます。これは半年から1年間続きます。
そこで努力をやめると、また下がります。
踏ん張って「スランプだ」と思いながら続けると、ある時また急に成績が上がります。そしてまた、その成績が続き、一見停滞して進歩がない期間が続きます。
体験的には、この繰り返しをへて少しずつ成績が上がることがほとんどです。直線的に成績が上がり続けることはごく稀です。
これは学校や日常生活ではほとんど語られませんが、「学習 プラトー 」と
検索すれば、ネット空間の塾・家庭教師関連スペースには記事があふれています。
私が中学生の時を振り返りますと、のちに東大へ行った友人は、このことを話していました。「今はスランプだから我慢してくり返し復習している」と彼は言っていました。
それを聞いた私は、内心、「そんなにしなくとも俺はできる」と、くり返し練習している彼を馬鹿にしました。彼はその後東大へ行きましたが、私は言わずもがなです。
運動部で良い成績を上げていた友人たちは、スポーツの技術向上についてですが、ほぼ全員が同じようなことを話していました。
今から30年ほど前、60年前のロシア心理学が英語圏に紹介されました。それに影響されたアメリカの心理学者が言い出し、そのあと追いでここ10年ほど日本でも流行してきたメタ認知という認知心理学用語があります。
勉強とスポーツで活躍したクラスメートの方々には、中学生の時から、反復練習と学習のプラトーについてメタ認知がありました。私は心理学を大学で勉強するまで気づきませんでした。
スランプやプラトーだけでなく、勉強を進めていくうえで、ステップアップのために必要なことを、問題の解き方や覚え方の工夫など、授業の中でお話して助言しています。
塾での経験も含めた今までの経験から判断して、多分、確かなことを選んでいます。
あるいは、シェアナンバーワンの通信教育が、「スタンダードコース」では触れずに「ハイレベルコース」の生徒さんには指導している内容です。
文科省が学習指導要領の解説の中で、「平均的学力以上の生徒には指導した方が良い」と言う趣旨を書いている内容や、私自身今までいくつかの学習塾に勤務しましたが、どの塾でも、成績が良いクラスの生徒さんに指導しているであろうような内容です。
心理学の話を持ち出すこともありますが、それは、そうすれば、聞きなれないことも、受け取ってもらえる確率が高まるかもしれないと願ってです。
また、話は少し横道にそれますが、中学の時の同級生や自分を振り返ってみますと、良い成績を上げても、そのための実際の努力と工夫は、友達にも話さないことがありました。
何もせずにできるのがかっこいいという思いや、コツを知られたら抜かれるかもしれないという思いがからまって、虚実をないまぜにして話したりします。
中学生の私もごたぶんにもれずでした。テスト前夜は生意気に「ペー
パーテストなんて、人間の本当の能力ははかれない頭のスポーツさ」
と、リポビタンDかコカコーラを眠気覚ましに飲みながら、夜明け前
の4時まで、すでに覚えたことも無条件反射的に瞬間的に答られるよ
うに、反復練習していましたが、同級生には「たいして勉強しなかっ
たから自信ないな」とか、とぼけてうそぶいていました。
ここ10数年の塾での逸話からは、ゲームやネットはほとんどしていないのに、友人にはそれに夢中になっていると話し、テスト直前は、自分より成績の良いクラスメートをわざわざゲームセンターに誘うという話もあります。
最近の主流は、ライン(LINE)の集中攻撃かもしれません。
はたから見聞きしている表向きの言動と、実際に良い成績をとるためにしていることが違うことがあります。
以上のようなことも含めて、勉強を進める上での注意点を、期を見てはくり返しお話して、学習方法については、具体的に演示して練習をしています。
すぐに参考にしてご自分の学習に取り入れてくださる生徒さんもいらっしゃいますが、学校や知人から聞いたことがない場合、それを受け入れてもらうまでには紆余曲折を経ることもあります。
脳内お花畑のできすぎ君は別として、現実の人は誰でも、他者の助言を受け入れて、今までの自分のやり方をのり超えるには、いくらかの失敗体験が欠かせないのではないでしょうか。
ステップアップと失敗体験。
この件に関しては、別の記事に、もう少し具体的に書いてみます。
塾に20年ほどかかわった経験を振り返ったまとめです。特定の個人に関しての話ではありません。
(2016年10月28日)